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会で個人優勝し、初めてトロフィーを手にしました。一回戦負けばかりしていたぼくは、うれしさをこらえきれませんでした。一生けん命がんばったかいがあったなあと、自分自身を見直しました。自分では気づいていない力を詰めた宝箱が、体の中にあるようでした。こんな力がぼくにあるとは思いませんでした。
剣道が楽しくなり、いつの間にかぼくの回りに友達ができていました。喘息も治り、性格も明るくなったと言われるようになりました。学校にいても、道場にいても、友達と何かをしている時が、とても楽しく思えるようになりました。そして、何事にも積極的に挑戦しようと感じるようにもなりました。
ぼくはいろいろな人に支えられて剣道を続けてきました。
「きり返しがうまい。」といい所を見つけてほめて下さった先生の一言で、自信をもって剣道を続けることができました。そして、自分の力を自分で信じることの大切さを学び、心が強くなったからこそ、喘息に負けない強い身体ができたと思います。これからも剣道を通じて、自分の力を信じる強い心と、身体をきたえたいと思います。
ぼくの「佑人」という名前は、人のために役立つ人間になってほしいという、父の願いがこめられています。その名の通り、自分を大切に、他人も大切にできる人間になりたいと思います。

 

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『剣道と私』
徳島県鳴門市
鳴門光武館
小学五年生

 

寺西由佳

 

「また剣道か、いやだな」そう思いながらも急いで剣道着を着ける私です。休みたくても私は休むことができません。何故なら、私が通う光武館道場は、祖父が館長で、祖母と父が指導員をしているからです。他の人は時々休むことがあるのに、私は病気の時以外は絶対に休めません。時々父に反抗して、練習の手をぬくことはありますが、それもすぐに見破られてしまい、「由佳!」と雷のような父の声が道場のどこからか飛んで来るのです。
そんな父が怪我をして剣道ができなくなりました。昨年六月、警察官である父は真夜中の暴走族の取り締まり中、その暴走族のオートバイにひかれたのです。長い入院生活を終えて帰宅しても、父は仕事につくことができません。勿論、前のように剣道の指導も無理です。けれども父は、杖をつき、びっこをひきながら週三回の練習日には必ず道場へ来てくれます。
父には光武館道場の少年剣士たちを、どこの剣士よりも強くしたいという夢があります。
また、祖父には、みんなを社会に役立つ立派な人間に育って貰いたいという願いがあるのです。
そのため、私の道場は、鳴門市幼少年防火クラブに加入して、年末の夜警や街頭PR、防火のポスターのコンクールなどを行ったり、助

 

 

 

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